三和テクノス株式会社

【シリーズ|元キャリアカウンセラーの視点】第1回 なぜ私は、このテーマを書き、いまリノベーションの仕事に携わっているのか

相談を受けてきた立場から、いま環境の話をする理由


 私はこれまで、産業カウンセラー・キャリアコンサルタント(国家資格)として、退職やキャリアの転機に立つ方々と、延べ15,000人以上、直接向き合ってきました。


 当初、私が意識的に向き合っていたのは、「仕事を辞めた方」や「これから次の職を探す方」でした。しかし経験を重ねるなかで、休職を余儀なくされ、回復の努力とともに復職を目指している方々とも、お会いするようになりました。


 主にメンタルの不調を経験し、「できれば元の職場に戻りたい」「次の職場を探したい」「働く場を失いたくない」。 そう語る方々の背景にあった事情は、決して一つではありません。業務量の多さ、人間関係の難しさ、個人の特性や体調など、複数の要因が重なっているケースが大半です。


 各社の人事担当者や管理職の方々が、限られた条件のなかで個別対応にどれほど苦慮されているかは、相談の現場や、求人内容の確認、採用後のフォローに関する直接のご相談を通じて、私自身も痛いほど感じてきました。


 そのうえで、私の中に次第に残っていった実感があります。

 それは、人の不調や離職は、個人の問題だけで説明できるものではなく、置かれている環境や、日々の空気感の影響を受けながら、静かに進んでいくケースも少なくない、ということです。

 もちろん、一人ひとりの不調に気づく文化や風土は重要です。それができるにこしたことはないと、私自身も思っています。

 ただ、それでもなお、言葉や制度だけでは届かない部分、努力や意識だけでは補いきれない部分が、確かに存在するようにも感じています。


 そうした思いを重ねるなかで、私の関心は次第に「その後のキャリア」だけでなく、「そこに至る前に、何ができただろうか」という問いへと移っていきました。 この問いに向き合った先にあったのが、私が今、環境づくりやリノベーションに関わる仕事に携わっている理由といえます。


 このコラムシリーズでは、「こうすれば防げる」「これが正解だ」といった答えを提示することを目的としていません。

 人の状態と環境との関係について、現場で見てきた実感をもとに、あらためて言葉にしていきたいと考えています。

 その先で、「人と環境の関係」に目を向ける視点が、ほんのわずかでも共有されることがあるのならば、私が今このテーマを書く意味は、そこにあると思っています。


ヘルスケアサポートチーム 中島
(産業カウンセラー・キャリアコンサルタント/国家資格)

2026.04.10