三和テクノス株式会社

マンションの外壁にひびが入ったとき、漏水が起きたとき、あるいは剥落事故が発生したとき… いったい誰が責任を負うのか?

 まだ結審前の事案ではあるものの、この根本的な問いに影響する初判断を最高裁が下しました。今回の判断は、占有者が独占的に専有する共用部(ベランダ)に係る工作物の保全等の管理責任に対して、管理組合の責任の捉え方を大きく揺るがすものであり、今後のマンション管理に避けて通れない問題を突きつけています。


 多くの管理組合が抱えるこの根本的な問いに対し、最高裁が2026122日、初めて方向性を示しました(令和6年(受)385号)。 本件はまだ結審には至っていません。しかし、今回の判断は、マンションにおける責任構造そのものに影響を与えうる重要な判断です。 


■最高裁判決が示した管理組合の責任


「独占的に専有する共用部の工作物に対する瑕疵は、誰の責任になるのか?」この問いに対して、民法第717条第1項 工作物責任の概略は以下のとおりになります。


1項 土地の工作物における損害賠償責任

・土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があり、他人に損害を与えた場合、第一次的には占有者が賠償責任を負う。

・占有者が損害防止のために必要な注意を尽くした場合は、所有者が賠償責任を負う。


 このように、民法7171項(工作物責任)は、二段構造になっています。そうした中で、今回の争点は、「マンションの共用部分は“誰が占有者なのか”」という点でした。

 今回の判決では、一審の地裁判断と二審の高裁判断を覆し、区分所有建物の共用部分を管理する区分所有者の団体=管理組合も占有者に該当することを示し、差し戻す(裁判のやり直し)画期的な判断を示したのです。2026122日、最高裁判決(令和6年(受)385号)


 判決は、端的に言えば、占有者が独占的に使用している共用部分に瑕疵があり漏水等の損害が発生した場合、これまでは占有者にその責任が示されてきましたが、最高裁は、管理組合も「占有者」に該当すると判断を示したことで、共用部の工作物に関する保全等に瑕疵があった場合は、その損害賠償責任を負う対象になると解釈できます。


 マンションの共用部における管理はもともと管理組合にありますが、管理困難なベランダ等の占有者が独占的に使用している共用部分も、特段に事情がない限り、占有者として管理しなければならないということです。


 そして当然ながら損害が発生した場合の賠償責任も負うことになろうかと思います。

 その財源は多くの場合には、修繕積立金になろうかと思います。万一の重大事故が発生すれば、高額な損害賠償に対応できるかどうか疑問が残ります。

 

 本件はまだ差し戻し審を残しており結審していませんが、管理組合が占有者責任を負い得るという最高裁の判断は、日常の管理の在り方を根本から問い直すものです。


 最終的な判断がどのように収束するにせよ、区分所有者全体で構成される管理組合が
「予防保全を怠らない」
「管理状況を継続的に点検する」

という姿勢なくして、リスクを抑えることはできません。


 今回の判断は、その必要性を改めて示す契機となるのではないでしょうか。


ヘルスケアサポートチーム 中島

2026.03.27